January 12, 2026
サントリー美術館(東京・六本木)で開かれている「IMARI/伊万里 ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器」展を観て、日本のグローバリズムは
1600年代には始まっているという”驚き”であった。もともと中国・景徳鎮で生産されてきた「青磁・白磁」に加え1500年代には白磁に
コバルトで染付した「青花磁器」が生産されるようになり、ヨーロッパの王侯貴族たちを魅了する。時代は大航海時代に突入し、ヨーロッパ諸国に
向けた磁器が中国から輸出されはじまる。1602年に設立されたオランダ東インド会社が世界(特にアジア海域)の貿易主導権を握り、
東南アジア原産の香辛料とともに、「白い金」と珍重される中国磁器の需要が高まっていく。
日本にも中国磁器が入り込んで、景徳鎮磁器を手本として、1610年代に「伊万里焼」が生産され、ヨーロッパへ輸出され始める。
1630年代には窯場を整理統合し、40年〜50年代には”色絵”をはじめとする画期的な技術革新が起こり大きく飛躍する、その頃中国では
明王朝が清王朝に代わる内乱等で大混乱をしていた。清王朝の海外貿易禁止に伴い景徳鎮磁器の輸出も激減し、困った東インド会社は
日本の伊万里焼に目をつけ、中国・景徳鎮磁器の代用品として考えていて貿易を持ちかけ、日本はヨーロッパ進出のチャンスが訪れた。
1659年、伊万里焼のヨーロッパへの輸出が本格的に開始される。
今回展示されるものは大量に生産された輸出商品の技術的に優れた品質の高いモノばかりが揃っている。
第1章では、明末に景徳鎮からヨーロッパ向けに輸出された”芙蓉手皿”が代表で見応えがあります。
≪染付芙蓉手花盆文皿≫≪染付大根文皿≫≪染付山水文有蓋壺≫≪染付折紙盆栽朝顔文皿≫≪色絵牡丹文手付瓶≫等々
第2章では、世界を魅了した柿右衛門様式、温かみのある乳白色の”白磁「乳白手」”が日本独特な色絵磁器を満喫させます。
≪色絵花鳥文六角壺≫≪染付山水文広口大瓶≫≪染付鳳凰文八角大壺≫≪色絵牡丹椿文八角壺≫≪色絵相撲人形≫≪色絵女人形≫等々
この柿右衛門様式は大好評で後に、ドイツ;マイセン窯、フランス;セーブル窯、イギリス;チェルシー窯、オランダ;デルフト陶器などでも
生産されるようになる。
第3章では、豪華絢爛、”金襴手様式”の台頭。1690年には柿右衛門様式の衰退、替って明時代の”金襴手”式が復活してきます。
≪染付人物大皿≫≪重要文化財 色絵花鳥八角大壺≫≪色絵透彫楼閣人物文八角壺≫≪色絵傘夫人文皿≫≪染付蒔絵烏龍装飾付広口大瓶≫等々
第4章では、1684年以降、中国景徳鎮磁器の復活と勝利。伊万里の収集に熱心であったドイツ・ザクセン選帝侯アウグストが亡くなるとともに
伊万里の人気も下火となり、約1世紀にわたって続いた伊万里のヨーロッパ輸出も幕を閉じ、1799年には東インド会社も解散になる。
≪色絵夫人文六角大壺≫≪色絵男人形≫≪色絵松竹梅鶴文コーヒーポット≫≪色絵傘夫人文皿≫≪色絵芙蓉手花盆文水切輪花鉢・受皿≫等々
ヨーロッパ文化をまねて≪色絵ケンタウロス文皿≫も面白い逸品です。
日本の時期の変遷の歴史を垣間見る面白くてためになる企画展でした。
開催場所:サントリー美術館(東京ミッドタウン ガレリア3F)
開催期間:2014年1月25日〜3月16日(日)
開館時間:10時〜18時(金・土は20時まで、2/10(月)は20時まで)
ヘドデル・キドリンスキー