芸術広場|Office I Ikegami blog

『早川良雄―”顔”と”形状”展』を見て!

国内外で早くから高い評価を獲得し、戦後のグラフィック・デザイン界を牽引してきた
早川良雄の偉業・回顧展を見てきました。
多くの商業広告デザインと個人のグラフィック作品の芸術には、日本調モダンと都会的な感性とともに、自由奔放で直観的な発想と大胆な構成表現、そして個性的な色彩感覚が溢れていて、初期から特徴的かつ斬新的なテーマとなった女性像や女の”顔”の作品では、自在かつ多様な表現方法によって情感と造形に迫るイラストレーションの力が発揮され、また後年の”形状”シリーズでは、抽象形体を客観的に把握しつつユニークな空間認識で描写するなど、まさに個性に満ちた作品を急逝するまで果敢に表してきた早川良雄氏、なんとも惜しい芸術家を偲んだ回顧展である。
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1950年、すでにグラフィックデザイン界の若手パイオニアとして活躍していた、同時代を生き、競い合った東京組の亀倉雄策に「早川君の油彩画は華やかさと哀愁の交流点のような魅力がある、それは絵描きにはない魅力だ」と言わせるほど絵心があった。
「東京風は、良く言えば、伝達の本道を踏まえて感性に流されない機能的な表現、悪く言えば、堅く骨ばっていて肉付けや表情に乏しい。関西風は、色彩感覚が豊かで遊びの要素が面白いが、悪く言えば、機能優先を忘れがちになる」と言うように、何事にもクールで成熟した現代性をうかがわせる関東でのスマートさに対して、心情やおおらかな情緒をもって個人の感性で訴えてくる関西の風土性をうかがわせつつも、シャイでおしゃれ、スタイリッシュな風を装い、その気風に徹して独自の造形的世界を繰り広げ、芸術的個性を確実にしつつ商業美術の作品表現へと昇華していったと芸術家であると思う。
特に«”顔”たち»のなかで、«第5回東京国際版画ビエンナーレ(英語版)ポスター»では、コマーシャルリズムの告知性を超えて早川良雄自身の創作思考が顕著になっている。絵画における輪郭や陰影をとらえる立体造形への指向とは異なり、イラストレーションの力強さとデフォルメの大胆さを自由にしたビジュアル・コミュニケートするデザイン的特質が明確化されていて象徴的でその創作を代表する作品である。
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«顔たち・白 ポスター» «ワコール・ニュースの表紙» «西武のきもの ポスター»
«第1回東京国際映画祭 ポスター» «「女」原画展 ポスター»
«”形状”»のシリーズでは、多くの商業美術のデザインとあわせてグラフィック・アートの作品として自由な発想と構想が展開され、”顔”の主題作品以上に直観的な感性が発揮され、独自の芸術性が表現されている。主題としての「形」は単純な基本形態であり、Ⅰは「方」、Ⅱは「段形」、Ⅲは「円筒形」、Ⅳ以降は独自の造形性の探求と心象風景の空間創造が図られ、具体的且つ有目的性を持ったデザイン創作としてビジュアル・コミュニケーションの可能性を示唆している。
作品としては、«国立国際美術館=開館ポスター» «緑・花・祭名古屋’88ポスター»
«日仏会館:ジョン・ヴァロノフ講演会ポスター» «モリサワのポスター=ゼロ»
«伊那製陶=緑、ひろがれ» «鳥よ、もどっておいで» «horizon» «方形のある風景»
«絵・加・減ポスター»などなど・・・・!
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亀倉雄策とともに、日本デザイン界のパイオニアとして、またはリーダーとして、生き抜いたユニークな、アイロニカルのある芸術家である思う。
そして、{日本人特有の心象原風景}が近・現代のビジュアル・デザインとして発信され、非常に感慨深く伝わってくる!!!
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早川良雄の”人となり、作品”を是非堪能してほしいと思う!!!

ヘドデル・キドリンスキー


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